イコライザープラグイン
深い低音からきらびやかな高音まで、音楽のさまざまな要素を調整できるプラグイン集です。特定の音を強めたり抑えたりして、リスニング体験を好みに合わせて整えるのに役立ちます。
グラフの操作
5Band PEQ、15Band PEQ、5Band FIR PEQ、Group Delay PEQ、Room EQのAdditional EQにあるポイントグラフでは、通常どおりポイントをドラッグすると両軸の値が変わります。Shiftキーを押しながらドラッグすると移動方向を1軸に固定できます。横方向へ動かし始めるとFrequencyだけ、縦方向へ動かし始めるとLevelだけ(Group Delay PEQではDelayだけ)が変わります。Shiftキーを離すと自由移動に戻ります。ポイントにマウスポインターを合わせ、ホイールを上へ回すとQが上がり、下へ回すとQが下がります。
モバイルでのバンド選択
モバイルでは、5Band PEQ、5Band FIR PEQ、Group Delay PEQ、Room EQのAdditional EQ、Tonal Balance EQのTarget Adjustは、選択した1バンドの設定だけを表示します。番号付きのバンドボタンをタップして、編集するバンドを切り替えてください。切り替えても、各バンドの設定は保持されます。
プラグイン一覧
- 15Band GEQ - 15個の精密なコントロールで細かく音を調整
- 15Band PEQ - 音楽再生向けの詳細な15バンド音質調整
- 5Band Dynamic EQ - 音楽に反応するダイナミクスベースのイコライザー
- 5Band FIR PEQ - Minimum Phase/Linear PhaseのFIRフィルターで音色を整える5バンドEQ
- 5Band PEQ - 低音、中音、高音を柔軟に整えるイコライザー
- Band Pass Filter - 特定の周波数範囲に注目
- Comb Filter - 位相感、空洞感、金属的な音色を追加
- Earphone Cable Sim - 通常範囲のイヤホンケーブル差による周波数特性変化の小ささを確認
- Group Delay EQ - 音色を変えずに帯域ごとの遅延を調整
- Group Delay PEQ - 音色を変えずに周波数ごとの遅延を5バンドのパラメトリック操作で調整
- Hi Pass Filter - 不要な低域を正確に取り除く。
- Lo Pass Filter - 不要な高域を正確に取り除く。
- Loudness Equalizer - 小音量リスニング向けの周波数バランス補正
- Narrow Range - 音の特定の範囲に集中
- Room EQ - 保存した室内測定に基づくFIR補正
- Tilt EQ - 音のスペクトルを傾けるシンプルなEQ
- Tonal Balance EQ - 長期的な音色バランスを音楽スタイルごとの目標へ自動補正
- Tone Control - 低音、中音、高音を手軽に調整
スペクトラムオーバーレイ
対応するグラフのスペクトラムアイコンを押すたびに、After、Before + After、Offの順に切り替わります。Afterでは加工後のスペクトラムだけを青い線で表示します。Before + Afterでは、加工前から加工後までの変化領域を塗り分けます。加工後のレベルが高くなった部分は暖色、低くなった部分は青で示し、その上にAfterのスペクトラムをグレーの線で重ねます。入力と出力のスペクトラムは再生上の同じ時点に揃うため、対応する音声同士の変化を比較できます。通常モードでは1/12オクターブスムージングを適用し、HQでは低域をより細かく解析します。聴きながら比較すると、調整によって低域・中域・高域がどう変わるかを確認できます。スペクトラムのレベルはグラフ右側のdBFS目盛で読みます。この目盛はグラフのゲイン目盛とは別で、0 dBFSはデジタル音声のフルスケール基準、より低い値ほど小さいレベルを表します。設定画面では、オーバーレイスペクトルの品質を通常またはHQ、表示を瞬時値またはピーク保持に切り替えられます。ピーク保持では直近のピークがしばらく表示され、徐々に下がります。Afterでは加工後のスペクトラムだけを取得し、Offでは取得も描画も停止します。
15Band GEQ
音のスペクトルを15個の帯域に分け、それぞれを個別に調整できるツールです。音楽を自分好みに細かく整えたいときに適しています。
リスニング向上ガイド
- 低音域 (25Hz-160Hz):
- バスドラムや深い低音の力強さを高める。
- ベース楽器の豊かさを調整する。
- 体に響くサブベースをコントロールする。
- 低中域 (250Hz-630Hz):
- 音楽の温かみを調整する。
- 全体のふくよかさをコントロールする。
- 音の「厚み」を減らしたり増やしたりする。
- 高中域 (1kHz-2.5kHz):
- ボーカルをより明瞭で近く感じさせる。
- 主な楽器の存在感を調整する。
- 音が前に出てくる感じをコントロールする。
- 高音域 (4kHz-16kHz):
- 歯切れのよさや細部を強調する。
- 音楽のきらめきや空気感を調整する。
- 全体の明るさを整える。
パラメータ
- Band Gains - 各周波数帯域の個別コントロール (-12dB から +12dB)
- Deep Bass
- 25Hz: 最も低い低音感
- 40Hz: 深い低音のインパクト
- 63Hz: 低音の力強さ
- 100Hz: 低音のふくよかさ
- 160Hz: 上寄りの低音
- Lower Sound
- 250Hz: 音の温かみ
- 400Hz: 音のふくよかさ
- 630Hz: 音の胴鳴り感
- Middle Sound
- 1kHz: メインの音の存在感
- 1.6kHz: 音の明瞭さ
- 2.5kHz: 音の細部
- High Sound
- 4kHz: 音の歯切れ
- 6.3kHz: 音の輝き
- 10kHz: 音の空気感
- 16kHz: 音のきらめき
- Deep Bass
ビジュアル表示
- 調整内容をリアルタイムに表示するグラフ
- 正確に操作しやすいスライダー
- ワンクリックで初期設定へ戻せるリセット
- スライダーをダブルクリックするとその帯域が0dBに戻ります。
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
15Band PEQ
低音、ボーカルの存在感、高域の伸びなどを聴きながら細かく整えるための15バンドパラメトリックイコライザーです。グラフィックEQより詳しく調整したいときや、気になる周波数を狙って抑えたいときに使えます。
サウンド向上ガイド
- ボーカルや楽器の明瞭さ:
- 自然な存在感を出すには、いずれかのバンドを3.2kHz付近に設定し、中程度のQ (1.0-2.0) を使う。
- 特定の響きが気になるときだけ、狭いQ (4.0-8.0) でカットする。
- 10kHzのハイシェルフ (+2 から +4dB) で穏やかな空気感を足す。
- 低音の質感調整:
- 100Hzのピーキングフィルターで低音のふくよかさを整える。
- 特定の低音だけが目立つ場合や部屋鳴りが気になる場合は、狭いカットを使う。
- ローシェルフで低音の伸びをなめらかに作る。
- 細かなリスニング調整:
- 自然に仕上げるには、小さく広めのブーストやカットを使う。
- 狭い設定は全体の音色ではなく、特定の問題に絞って使う。
- バイパスとこまめに聴き比べ、音楽全体のバランスを保つ。
パラメータ
- 設定可能なバンド
- 15個の自由に設定できる周波数バンド
- 初期周波数:
- 25Hz, 40Hz, 63Hz, 100Hz, 160Hz (低音域)
- 250Hz, 400Hz, 630Hz (低中域)
- 1kHz, 1.6kHz, 2.5kHz (中域)
- 4kHz, 6.3kHz, 10kHz, 16kHz (高音域)
- 各バンドのコントロール
- Center Frequency: 20Hz から 20kHz まで調整可能
- Gain Range: Peaking と Low/High Shelf フィルターでは ±20dB
- Q Factor: 多くのフィルタータイプでは 0.1-10.0、Low/High Shelf では 0.1-2.0
- Qが高いほど狭い範囲に効き、低いほど広くなめらかに効く。
- Low/High Pass、Band Pass、Notch、AllPass では Frequency と Q がフィルター形状を決め、Gain は使われない。
- 複数のフィルタータイプ:
- Peaking: 対称的な周波数調整
- Low/High Pass: 12dB/oct のスロープ
- Low/High Shelf: 穏やかな音色調整
- Band Pass: 特定帯域への集中
- Notch: 特定周波数の精密な除去
- AllPass: 位相を中心にした周波数調整
- プリセット管理
- Import: Equalizer APO風のTXTフィルター行を読み込み
- 最大15個の
ONPK/LS/LSC/HS/HSC フィルターを読み込む。Preamp行と未対応のフィルタータイプは無視される。- 形式例:
Filter 1: ON PK Fc 50 Hz Gain -3.0 dB Q 2.00 Filter 2: ON HS Fc 12000 Hz Gain 4.0 dB Q 0.70 ...
- 形式例:
ビジュアル表示
- 高解像度の周波数応答表示
- 正確なパラメータ表示付きのインタラクティブなコントロールポイント
- 設定変更に応じたリアルタイムのカーブ更新
- 周波数とゲインのグリッド
- すべてのパラメータの正確な数値表示
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
5Band Dynamic EQ
音楽の内容に応じて各帯域を自動的に調整するスマートなイコライザーです。精密なEQと、音楽の変化にリアルタイムで反応するダイナミック処理を組み合わせ、常に手動調整しなくても聴きやすい音に整えられます。
リスニング向上ガイド
- 耳につくボーカルを抑える:
- 3000Hzのピークフィルターを使い、Ratioを高め (4.0-10.0) に設定する。
- Thresholdは中程度 (-24dB)、Attackは速め (10ms) にする。
- ボーカルが強く出すぎたときだけ耳障りさを自動的に抑える。
- 明瞭さと輝きを強める:
- Band 5を使い、Filter Type: Highshelf、Frequency: 約10000Hz、SC Freq: 約1200Hz、Ratio: 0.5、Attack: 1ms に設定する。
- 中域をきっかけに高域を動かし、自然な明瞭さを作る。
- 常に明るくしすぎず、音楽にきらめきを加える。
- 過剰な低音をコントロールする:
- 100Hzのローシェルフフィルターを使い、Ratioを中程度 (2.0-4.0) に設定する。
- 低音の迫力を保ちながら、スピーカーの歪みを防ぐ。
- 小型スピーカーで低音の強い音楽を聴くときに適している。
- 適応型の音作り:
- 音楽のダイナミクスでサウンドバランスを制御する。
- 曲や録音の違いに自動的に適応する。
- プレイリスト全体で安定した聴きやすさを保つ。
パラメータ
- 5バンドコントロール - 各バンドを個別に設定
- Band 1: 100Hz (低音域)
- Band 2: 300Hz (低中域)
- Band 3: 1000Hz (中域)
- Band 4: 3000Hz (高中域)
- Band 5: 10000Hz (高音域)
- バンド設定
- Filter Type: Peak、Lowshelf、Highshelf から選択
- Frequency: 中心/コーナー周波数を微調整 (20Hz-20kHz)
- Q: 帯域幅や鋭さを調整 (0.1-10.0)
- Max Gain: 最大ゲイン変化量を設定 (0-24dB)
- Threshold: 処理が始まるレベルを設定 (-60dB から 0dB)
- Ratio: 処理の強さを調整 (0.1-100.0)
- 1.0未満: エキスパンダー (信号がThresholdを超えたときに強調)
- 1.0超: コンプレッサー (信号がThresholdを超えたときに抑制)
- Knee Width: Threshold付近の変化をなめらかにする (0-10dB)。
- Attack: 処理が始まる速さ (0.1-100ms)
- Release: 処理が終わる速さ (1-1000ms)
- Sidechain Frequency: 検出に使う周波数 (20Hz-20kHz)
- Sidechain Q: 検出帯域幅 (0.1-10.0)
ビジュアル表示
- リアルタイムの周波数応答グラフ
- 現在のブーストやカットを示すダイナミック応答カーブ
- インタラクティブな周波数とゲインのコントロール
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
5Band FIR PEQ
5Band FIR PEQは、5Band PEQに近い5バンドの操作性を保ちながら、すべての帯域をまとめて1本のFIRフィルターとして構成します。再生音の精密な補正、非常に狭いカット、急峻なシェルフ遷移を、再帰フィルターの安定性に制約されず設定したい場合に使います。Minimum Phaseは処理遅延を抑え、Linear Phaseはすべての周波数を一定時間だけ遅らせます。使用にはWASM DSPエンジンが必要で、利用できない場合は信号が変更されずに通過します。
音質調整ガイド
- まず Minimum Phase、32768 Taps、Latency 128 samplesで始めます。通常の低域・中域・高域調整には、0.7~2程度の広いQを使います。
- 測定で確認した狭いピークを抑えるにはPeakingを選び、中心周波数をピークに合わせてQを徐々に上げます。10を超える値は精密補正向けです。極端に狭い応答ではTapsが不足する場合があるため、ステータスを確認してください。
- 低域のバランスにはLow Shelf、高域のバランスにはHigh Shelfを使います。普段のリスニングでは1~3 dB程度の小さな調整から始めます。
- 不要な帯域端を取り除くにはLowPassまたはHighPassを使います。Slopeは12または24 dB/octから始め、より鋭いカットが必要な場合だけ大きくします。
- 周波数全体で一定の位相遅延が重要で、追加遅延を許容できる場合は Linear Phase を選びます。特に急峻な設定ではトランジェントより前にエネルギーが現れることがあるため、打音の強い音楽ではMinimum Phaseとも比較してください。
- FIR構成はフィードバック極による不安定化を避けられますが、大きなブーストや非常に高いQでは、選択性が高く長いインパルス応答になります。孤立した共鳴にはブーストよりカットを優先し、再生ヘッドルームを確保してください。
パラメータ
- Phase
- Minimum Phase - 因果的なミニマムフェーズ応答を作り、FIR長の半分に相当する遅延は加えません。選択したLatencyは加わります。
- Linear Phase - 対称なリニアフェーズ応答を作り、選択したLatencyに加えて
Taps / 2samplesのFIR遅延が発生します。
- Taps - FIR長を8192、16384、32768、65536、131072から選びます。増やすと低域や非常に高いQの精度が上がりますが、メモリー使用量、設計時間、Linear Phaseの遅延も増えます。
- Latency - 畳み込みエンジン先頭部の遅延を0、128、256、512、1024 samplesから選びます。小さいほど遅延は減りますが、処理負荷は上がります。
- 5つの調整バンド - 初期中心周波数は100 Hz、316 Hz、1 kHz、3.16 kHz、10 kHzです。各バンドを個別にEnableできます。
- Type - Peaking、LowPass、HighPass、Low Shelf、High Shelf、BandPass、Notchから選びます。有効なすべてのバンドを合成してからFIRを設計します。
- Freq - バンドの周波数を20 Hz~20 kHzに設定します。
- Gain - Peaking、Low Shelf、High Shelfのブースト/カットを-20~+20 dBに設定します。LowPass、HighPass、BandPass、Notchでは使用しません。
- Q - 応答幅を0.1~100に設定します。大きいほど狭く、小さいほど広い変化になります。スライダーは対数目盛です。
- Slope - LowPassまたはHighPassの減衰勾配を0.1~384 dB/octに設定します。スライダーは対数目盛で、この2つのTypeを選んだ場合だけ操作できます。
ビジュアル表示
- 灰色の曲線は、現在のバンド設定による合成後の設計値を示します。
- 緑色の曲線は、設計されたFIRが実際に実現する振幅特性です。2本が離れている部分は、選択したTapsでは設計値を正確に再現できていないことを示します。
- 番号付きマーカーは5つのバンドに対応します。左右へドラッグすると周波数、上下へドラッグするとGainが変わり、無効なバンドは暗く表示されます。
- ステータス行にはFIRの設計/準備/使用状態と、総処理遅延(samplesおよびmilliseconds)が表示されます。
- 選択したTapsで極端な応答を正確に再現できない場合は、Tapsを増やすかQまたはSlopeを下げるようステータスに表示されます。
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
5Band PEQ
音楽再生の音色を整えるための柔軟な5バンドイコライザーです。低音が膨らむ、ボーカルがきつい、高域に少し輝きが欲しい、といった調整を、より詳細な15バンド版を開かずに行いたいときに使えます。
サウンド向上ガイド
- ボーカルや楽器の明瞭さ:
- 3.16kHzバンドを中程度のQ (1.0-2.0) で使い、自然な存在感を出す。
- 特定の響きが気になるときだけ、狭いQ (4.0-8.0) でカットする。
- 10kHzのハイシェルフ (+2 から +4dB) で穏やかな空気感を足す。
- 低音の質感調整:
- 100Hzのピーキングフィルターで低音のふくよかさを整える。
- 特定の低音だけが目立つ場合や部屋鳴りが気になる場合は、狭いカットを使う。
- ローシェルフで低音の伸びをなめらかに作る。
- 日常的な音色調整:
- 自然な音色変化には、広く小さな調整を使う。
- 耳障りさ、低音の膨らみ、こもりを聴きながら抑える。
- バイパスとこまめに聴き比べ、音楽全体のバランスを保つ。
パラメータ
- Five Adjustable Bands
- Band 1: 100Hz (サブ/低音のコントロール)
- Band 2: 316Hz (低中域の輪郭)
- Band 3: 1.0kHz (中域の存在感)
- Band 4: 3.2kHz (高中域の細部)
- Band 5: 10kHz (高域の伸び)
- 各バンドのコントロール
- Center Frequency: 20Hz から 20kHz まで調整可能
- Gain Range: Peaking と Low/High Shelf フィルターでは ±20dB
- Q Factor: 多くのフィルタータイプでは 0.1-10.0、Low/High Shelf では 0.1-2.0
- Qが高いほど狭い範囲に効き、低いほど広くなめらかに効く。
- Low/High Pass、Band Pass、Notch、AllPass では Frequency と Q がフィルター形状を決め、Gain は使われない。
- 複数のフィルタータイプ:
- Peaking: 対称的な周波数調整
- Low/High Pass: 12dB/oct のスロープ
- Low/High Shelf: 穏やかな音色調整
- Band Pass: 特定帯域への集中
- Notch: 特定周波数の精密な除去
- AllPass: 位相を中心にした周波数調整
ビジュアル表示
- 高解像度の周波数応答表示
- 正確なパラメータ表示付きのインタラクティブなコントロールポイント
- 設定変更に応じたリアルタイムのカーブ更新
- 周波数とゲインのグリッド
- すべてのパラメータの正確な数値表示
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Band Pass Filter
ハイパスフィルターとローパスフィルターを組み合わせ、特定の周波数範囲だけを通す精密なバンドパスフィルターです。Linkwitz-Rileyフィルター設計に基づき、位相応答と透明感のある音質を重視しています。
リスニング向上ガイド
- ボーカル帯域に注目:
- HPFを100-300Hz、LPFを4-8kHzに設定し、ボーカルの明瞭さを強調する。
- 自然な音には中程度のスロープ (-24dB/oct) を使う。
- 複雑な音楽の中でボーカルを目立たせやすくする。
- 特殊効果を作る:
- 電話、ラジオ、メガホン風の効果には狭い周波数範囲を設定する。
- より大胆なフィルター効果には急なスロープ (-36dB/oct以上) を使う。
- さまざまな周波数範囲を試し、創造的な音にする。
- 特定の帯域を整理する:
- 気になる周波数を狙って調整する。
- 必要に応じてハイパス側とローパス側で異なるスロープを使う。
- 低域のゴロつきと高域ノイズを同時に抑えたいときに便利
パラメータ
- HPF Frequency (Hz) - 低域を取り除き始める位置を設定 (10Hz から 40000Hz。実効上限はオーディオのサンプルレートにも依存)
- 低い値: ごく低い周波数だけを取り除く。
- 高い値: より多くの低域を取り除く。
- 取り除きたい低域成分に合わせて調整する。
- HPF Slope - カットオフより下の周波数をどの程度強く減らすかを設定
- Off: フィルターなし
- -12dB/oct: 穏やかなフィルター (LR2 - 2次 Linkwitz-Riley)
- -24dB/oct: 標準的なフィルター (LR4 - 4次 Linkwitz-Riley)
- -36dB/oct: より強いフィルター (LR6 - 6次 Linkwitz-Riley)
- -48dB/oct: 非常に強いフィルター (LR8 - 8次 Linkwitz-Riley)
- LPF Frequency (Hz) - 高域を取り除き始める位置を設定 (10Hz から 40000Hz。実効上限はオーディオのサンプルレートにも依存)
- 低い値: より多くの高域を取り除く。
- 高い値: ごく高い周波数だけを取り除く。
- 取り除きたい高域成分に合わせて調整する。
- LPF Slope - カットオフより上の周波数をどの程度強く減らすかを設定
- Off: フィルターなし
- -12dB/oct: 穏やかなフィルター (LR2 - 2次 Linkwitz-Riley)
- -24dB/oct: 標準的なフィルター (LR4 - 4次 Linkwitz-Riley)
- -36dB/oct: より強いフィルター (LR6 - 6次 Linkwitz-Riley)
- -48dB/oct: 非常に強いフィルター (LR8 - 8次 Linkwitz-Riley)
ビジュアル表示
- 対数周波数スケールのリアルタイム周波数応答グラフ
- 両方のフィルタースロープとカットオフ位置を明確に表示
- 正確に調整できるインタラクティブなコントロール
- 主要な基準点を示す周波数グリッド
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Comb Filter
元の音にごく短い遅延コピーを混ぜることで、位相感、空洞感、金属的な響き、共鳴感を加えるコームフィルターです。音に色付け、広がり、実験的な質感を加えたいときに使えます。
リスニング向上ガイド
- 控えめな色付けを加える:
- Feedforwardモード、Feedback Gain 0.2-0.4前後、Dry-Wet Mix 20-40%前後から始める。
- Fundamental Frequencyを調整し、空洞感や位相感が音楽に合う位置を探す。
- 穏やかに混ぜたいときはフィードバックを低めに保つ。
- 共鳴やエコー風の効果を作る:
- Feedbackモードや高めのFeedback Gainを使い、より強い鳴りやエコー感を出す。
- さまざまな基本周波数を試して、独特な音色を作る。
- 効果が目立ちすぎる場合はDry-Wet Mixを下げる。
- 明るく金属的な色を作る:
- 高めのFundamental Frequencyで、明るく間隔の広いピークとディップを作る。
- 正または負のFeedback Gainで、ピークとディップのパターンを変える。
- 他のエフェクトと組み合わせて、より実験的なリスニング効果にする。
パラメータ
- Fundamental Frequency (Hz) - 遅延時間と倍音間隔を制御 (20Hz から 20000Hz)
- 低い値: 遅延が長くなり、コーム状のピークとディップの間隔が狭くなる。
- 高い値: 遅延が短くなり、コーム状のピークとディップの間隔が広くなる。
- Feedback Gain - コームフィルター効果の強さを制御 (-1.0 から 1.0)
- 負の値: 逆向きの倍音パターンを作る。
- 正の値: 強め合う倍音パターンを作る。
- 0: 効果なし (ドライ信号のみ)
- 絶対値が大きいほど効果がはっきりする。
- Comb Type - フィルター構造を制御
- Feedforward: フィードバックなしで倍音的な強調を作る。
- Feedback: 共鳴やエコー風の効果を作る。
- Dry-Wet Mix - 処理音と元の音のバランスを制御 (0% から 100%)
- 0%: 元の音のみ
- 50%: 元の音と処理音を同量でミックス
- 100%: 処理音のみ
技術的詳細
- 遅延計算: 遅延時間 = 1 / Fundamental Frequency
- 倍音応答: 基本周波数に基づき、規則的なピークとディップを作る。
- 空間的な色付け: 短い反射、空洞感、金属的な共鳴に似た質感を作れる。
- リアルタイム可視化: 基本周波数マーカー付きの周波数応答を表示
ビジュアル表示
- 対数周波数スケールのリアルタイム周波数応答グラフ
- コームフィルターのピークとディップを明確に表示
- 遅延時間を示す基本周波数マーカー
- 正確に調整できるインタラクティブなコントロール
- ミリメートル単位の遅延距離計算
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Earphone Cable Sim
イヤホンを、実際のケーブル抵抗/インダクタンスとゼロでないアンプ出力インピーダンスを通して駆動したときに生じる、小さな周波数特性の変化を再現します。イヤホンのインピーダンスは周波数によって変化する(ドライバの共振やボイスコイルのインダクタンス)ため、ソースとケーブルのインピーダンスによってイヤホン固有のレベル変化が生じます。また、品質に異常のない通常構造のケーブル、一般的なアンプ出力インピーダンス、極端な低インピーダンスなどの特殊な条件ではないイヤホンであれば、通常範囲のイヤホンケーブル差が聴感上は無視できるほど小さいことを確認する用途にも使えます。この影響は、大きなインピーダンスピークを持つ低インピーダンスイヤホンで特に強く、現代的な低出力インピーダンスのアンプでは通常は控えめです。
音質調整ガイド
- ソースインピーダンスの影響を確認:
- Output Z を上げて真空管アンプや高インピーダンス出力を再現
- バイパスと比較し、低域やインピーダンスピーク付近の変化を確認
- マルチドライバイヤホンの挙動を探る:
- Resonance を追加で有効化し、複数のインピーダンスピークを持つBA型やハイブリッド型をモデル化
- 大きなインピーダンスピークと高いソースインピーダンスの組み合わせで色付けが強まる。
- ケーブル抵抗/インダクタンスのシミュレーション:
- Cable R を上げると、直流抵抗の高い長い/細いケーブルを再現
- Cable L を上げると、インダクタンスの大きいケーブルを再現し、その影響は主に超高域に現れる。
- Cable R は総直列抵抗に加算されるため、帯域全体で相互作用を強めることがある。
- 通常範囲のケーブル差の聴感上の大きさを確認:
- 現実的な Cable R と Cable L を設定し、バイパスと比較して通常のケーブル差がどれほど小さいかを見積もる。
- 極端な Output Z、Cable R、非常に低い Base Z にしないと変化が分かりにくい場合、そのイヤホンとアンプの組み合わせでは通常のケーブル差が聴感上問題になりにくいことを示す。
システムプリセット
エフェクト見出しのエフェクトプリセットで、ソースとケーブルの条件全体を比較できます。
- High Impedance Source - 低インピーダンスのイヤホンを高出力インピーダンスのソースで駆動する設定。
- Long Thin Cable - ケーブルの抵抗とインダクタンスを増やす設定。
- Vintage Portable Out - 出力インピーダンスが高いポータブル出力と32 Ωイヤホンの設定。
パラメータ
- Output Z (Ω) - アンプ出力インピーダンス(0〜20)。1Ω未満は現代的なアンプの典型値で、高い値ほどインピーダンス由来の色付けが強くなる。
- Cable R (Ω) - ケーブル直流抵抗(0〜2)。長い/細いケーブルほど大きく、総直列抵抗に加算される。
- Cable L (µH) - ケーブルインダクタンス(0〜5)。特に低インピーダンスイヤホンで、主に超高域の応答に影響する。
- Voice Coil L (mH) - イヤホンのボイスコイルインダクタンス(0.01〜2)。高域に向かって負荷インピーダンスを上げ、高域側の相互作用を変える。
- Base Z (Ω) - 低域でのイヤホン公称インピーダンス(4〜64)。低いほどソースやケーブルのインピーダンスの影響が大きくなる。
- Resonances(最大5つ) - 各々がドライバのインピーダンスピーク1つをモデル化。1つ目はデフォルトで有効、残りは代表的なドライバ共振にプリセット済みで切替可能。
- Enable - 各共振のON/OFF
- Freq (Hz) - 共振周波数(20〜20000)
- Q - インピーダンスピークの鋭さ(0.5〜10)
- Peak Z (Ω) - 共振ピークでのインピーダンス(16〜116)
技術的詳細
- 物理モデル:
H(f) = Zload / (Zsource + Zload)を計算。Zsourceは出力インピーダンスとケーブルの抵抗/インダクタンス、Zloadはイヤホンのインピーダンス(ベースインピーダンス、ボイスコイルインダクタンス、共振ピーク)。 - 実現方式: 伝達関数を因数分解し、matched-Z方式のバイカッドフィルタ縦続接続に変換することで、他のEQプラグインと同様にゼロレイテンシかつ最小位相で動作。
- 正規化: 応答を20Hz〜20kHzのパワー平均0dBに正規化し、エフェクトのON/OFFで全体音量が変わらないようにしている。
ビジュアル表示
- 対数周波数軸で、実際に適用されるフィルター応答をリアルタイム表示
- グリッドのラベルは20Hz〜20kHz、曲線はグラフ全体の10Hz〜40kHz範囲に表示
- 暗いグリッド上に緑の応答曲線を表示し、dB軸は正規化後の0dB基準を中心に自動スケール
- 曲線の振れ幅が大きい部分ほど、モデルによる再生レベルの変化が大きい。
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Group Delay EQ
Group Delay EQは、通常のイコライザーと対になるエフェクトです。各帯域の音量ではなく、各帯域がいつ届くかを変えます。15本のスライダーで帯域ごとの遅延量を設定すると、その遅延を平坦な振幅特性で実現することを目標に1本のFIRフィルターを構成します。振幅特性の平坦さは設計目標であり、常に保証されるものではありません。有限長のTapsで理想特性を近似するため、遅延量が大きい設定や帯域間で急に変化する設定では、測定可能な振幅リップルが生じることがあります。スピーカーやクロスオーバーのタイミングのずれを補正したり、位相ひずみが自分の環境でどれだけ聴き取れるかを確かめたりするのに使います。使用にはWASM DSPエンジンが必要で、利用できない場合は信号が変更されずに通過します。
音に効くのは帯域どうしの差だけです。すべての帯域を同じだけ遅らせても単なるディレイになるため、本エフェクトは内部の遅延量を固定し、その前後に各帯域を動かす形にしています。すべてのスライダーが0 msの間は完全に素通しで、レイテンシーも増えません。
音質調整ガイド
- スピーカーとサブウーファーのタイミング: 低音が他より遅れて聞こえる場合は、クロスオーバーより上の帯域を同じ量だけ遅らせ、グラフがその範囲で平坦になるようにします。2~10 ms程度の補正が一般的で、キックドラムやベースで判断しやすくなります。
- バスレフスピーカーと部屋の共鳴: バスレフ型は共振周波数付近で群遅延が増えます。該当する低域を下げるか、他の帯域をすべて上げて、曲線が平坦に近づくようにします。50 Hz以下にわずかな差が残るのは普通です。
- 位相ひずみの聴感テスト: 1つの帯域を+10 msにしてエフェクトのオン/オフを比較し、差が分からなくなるまで値を下げていきます。この結果を位相だけの比較として解釈できるのは、ステータス行のRippleが十分に小さく、緑色のRealized曲線が灰色のTarget曲線とよく重なっている場合です。それ以外では、振幅の変化や遅延特性の再現誤差も聴こえ方に影響します。
- 1バンドずつ調整する: スライダーは1本ずつ動かして聴き比べます。位相だけの変化は多くの音楽で繊細で、主にドラム、撥弦楽器、ピアノの立ち上がりなどのトランジェントで表れます。
- 2本の曲線を確認する: 緑色の曲線が灰色の曲線から離れている場合、現在のTapsではその形を実現できません。Tapsを増やすか、隣り合う帯域の差を小さくしてください。
パラメータ
- Taps - FIR長を4096、8192、16384、32768から選びます。低域ほど長いフィルターが必要で、96 kHzでは16384 Tapsで60 Hz付近まで大きな遅延差も再現できます。短い設定では低域から精度が落ちます。Tapsはフィルターが保持できる遅延量、つまりスライダーの可動範囲も決めます。増やすとレイテンシーと処理負荷も増えます。
- Latency - 畳み込みエンジン先頭部の遅延を0、128、256、512、1024 samplesから選びます。小さいほど遅延は減りますが、処理負荷は上がります。
- 帯域スライダー(25 Hz~16 kHz) - 15本のスライダーで各帯域の群遅延を設定します。正の値はその帯域を遅らせ、負の値は早めます。可動範囲はフィルターが保持できる遅延量そのもので、96 kHzでは4096 Tapsで±18.6 ms、32768 Tapsで±149.3 msです。最高域はこの値をそのまま実現でき、低い帯域ほど大きな設定に追従するには多くのTapsが必要になります。どこまで実現できているかはグラフで確認できます。値は周波数方向になめらかに補間されるため、隣り合う帯域は常につながった特性になります。
- 位相角 - ms値の下には、同じ遅延をその帯域の中心周波数における位相の回転量として表示します。1周(360°)を超える場合は「周期数 + 残りの角度」に分解して表示するため、
+2c180°は2周と半回転を意味します。 - Reset - スライダーをダブルクリックするとその帯域が0 msに戻ります。グラフ上のResetボタンでは全帯域を一度に戻せます。
総レイテンシーはLatencyの設定値にTapsの半分を加えた値です。スライダーを動かしても変わらないため、チェーン全体の遅延が変わるのはTapsまたはLatencyを変更したときだけです。
ビジュアル表示
- 灰色の曲線は目標特性です。20 Hz~20 kHzの対数周波数軸上に、指定した遅延を補間して表示します。縦軸は現在の設定に合わせて自動で拡大縮小し、最小で±5 msです。
- 緑色の曲線は、設計されたフィルターが実際に実現している特性です。2本が重なっていれば設定どおりに実現できており、離れている場合は現在のTapsでは追従できていません。
- ステータス行には総レイテンシー(samplesおよびmilliseconds)と、フィルターの振幅リップルが表示されます。リップルは実現された振幅特性が平坦という設計目標からどれだけずれているかを示し、値が小さいほど目標に近いことを意味します。0.3 dBが精度警告の基準です。
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Group Delay PEQ
Group Delay PEQは、Group Delay EQのパラメトリック版です。15本の固定スライダーの代わりに、形状・周波数・遅延量・Qを自由に設定できる5つのバンドを備えます。有効なバンドを合成した1本の目標遅延曲線を作り、その曲線を平坦な振幅特性で実現することを目標に1本のFIRフィルターを構成します。振幅特性の平坦さは設計目標であり、常に保証されるものではありません。有限長のTapsで理想特性を近似するため、遅延量が大きい設定や非常に狭い形状では、測定可能な振幅リップルが生じることがあります。クロスオーバー、バスレフ、急峻なハイパス、共振など、補正したいタイミング誤差の形が分かっている場合に向いており、1~2バンドでその形をそのまま再現できます。使用にはWASM DSPエンジンが必要で、利用できない場合は信号が変更されずに通過します。
音に効くのは周波数どうしの差だけです。すべてを同じだけ遅らせても単なるディレイになるため、本エフェクトは内部の遅延量を固定し、その前後に各領域を動かす形にしています。有効なバンドがすべて0 msの間は完全に素通しで、レイテンシーも増えません。振幅特性は変わらないため効果は繊細で、音色ではなくタイミングの変化として、主にドラム、撥弦楽器、ピアノの立ち上がりなどのトランジェントで表れます。
音質調整ガイド
- Filter GDで既知のフィルターをなぞる: 2次のアナログセクションの群遅延のこぶは、カットオフ周波数とQで形が決まります。この2つの値をFreqとQに入れ、測定したこぶの高さの符号を反転した値をDelayに設定すると、そのこぶを打ち消せます。密閉型サブウーファーやLR2の和は1バンド、4次のバスレフやLR4の和は1~2バンドでカバーできます。
- シェルフで領域全体を揃える: ある特定の周波数付近ではなく、スペクトルの一方の側がまとめて遅れている場合は、Low ShelfまたはHigh ShelfをQ 2~4で使います。幅1オクターブ前後の段差になり、コーナー周波数の片側全体を同じ量だけ動かせます。
- 残りはPeakで微調整する: Peakは滑らかなベル形で、その半値幅はパラメトリックEQと同じくQに従います。単一のフィルター形状では説明できない残差のこぶに使います。
- 高域クロスオーバーは過度に期待しない: 3 kHzのLR4クロスオーバーの群遅延ピークは0.2 ms程度しかありません。その補正は可聴性以下であり、効果は僅かです。低域のタイミング誤差のほうがはるかに意味があります。
- 低域と高いQには長いフィルターが必要: Q 8程度の高いQで低域の共振を補正するには、96 kHzでは32768 tapsが必要です。2本の曲線を確認し、緑色の曲線が灰色の曲線に追従できていない場合はTapsを増やすかQを下げてください。
- 1バンドずつ調整する: バンドは1つずつ動かして聴き比べます。位相だけの変化は多くの音楽で繊細で、グラフを見るよりもエフェクトのオン/オフ比較のほうが多くを教えてくれます。
パラメータ
- Type - バンドの遅延形状を選びます。4種類とも同じ3つの値(Freq・Delay・Q)だけで決まり、Delayは常にそのバンド単独の曲線の極値を表します。
- Peak - Freqを中心とするベル形で、半値幅はQから決まる帯域幅に一致します。オーバーシュートしないため、自由な形状の補正や残差の微調整に向きます。
- Low Shelf - Freqより低い側でDelay、Freqでその半分、高い側で0になる滑らかな段差です。Qは遷移の急峻さを決め、Q 1で1次オールパスの群遅延遷移と一致し、Q 2~4で帯域を限定したタイムアライメント向けの幅1オクターブ前後の実用的な段差になります。
- High Shelf - Low Shelfの鏡像であり、その相補形です。同じFreqとQの2つを合成すると一定のDelayになります。
- Filter GD - アナログフィルター(ハイパス/クロスオーバー/共振)1段が持つ群遅延の形をそのまま加減するタイプです。FreqとQに補正対象フィルターのカットオフ周波数とQを、Delayに測定した群遅延カーブの山の高さ(打ち消す場合は負値)を入れます。
- Freq - バンドの周波数を20 Hz~20 kHzに設定します。18~20 kHz付近では目標が滑らかに0へ減衰するため、上限付近に置いたバンドは効果が弱まります。
- Delay - そのバンド単独の曲線の極値をミリ秒で設定します。正の値はその領域を遅らせ、負の値は早めます。可動範囲はフィルターが保持できる遅延量そのもので、96 kHzでは4096 tapsで±18.6 ms、32768 tapsで±149.3 msです。Tapsやサンプリング周波数を変更すると、保存値は新しい上限にクランプされます。
- Q - 形状の幅や急峻さを0.1~100の対数スライダーで設定し、すべてのTypeで使用します。実用的な範囲はタイプごとに異なり、Low Shelf/High Shelfは0.25~16、Filter GDは0.1~10です。実際の目安はシェルフがQ 2~4、Filter GDがQ 0.5~8で、0.5は1次オールパスやLR2の和、0.7071はButterworthやLR4の和、8は鋭い共振に対応します。範囲外の設定も受け付けますが、現在のTapsで実現できない場合はステータス行に表示されます。
- Enabled - 5つのバンドを個別に有効/無効にします。無効なバンドは目標曲線に寄与せず、グラフ上では暗く表示されます。
- Taps - FIR長を4096、8192、16384、32768から選びます。低域ほど長いフィルターが必要で、高いQの形状も同様です。Tapsはフィルターが保持できる遅延量、つまりDelayの可動範囲も決めます。増やすとレイテンシーと処理負荷も増えます。
- Latency - 畳み込みエンジン先頭部の遅延を0、128、256、512、1024 samplesから選びます。小さいほど遅延は減りますが、処理負荷は上がります。
総レイテンシーはLatencyの設定値にTapsの半分を加えた値です。バンドを操作しても変わらないため、チェーン全体の遅延が変わるのはTapsまたはLatencyを変更したときだけです。
ビジュアル表示
- 灰色の曲線は目標特性で、有効なバンドの形状を合成したものを対数周波数軸上に表示します。縦軸は現在の設定に合わせて自動で拡大縮小し、最小で±5 msです。
- 緑色の曲線は、設計されたフィルターが実際に実現している特性です。2本が重なっていれば設定どおりに実現できており、離れている場合は現在のTapsでは追従できていません。
- 番号付きマーカーは5つのバンドに対応します。左右へドラッグすると周波数、上下へドラッグするとDelayが変わります。マーカーが曲線上に乗るのはPeakのときだけで、シェルフはFreqでDelayの半分になり、Filter GDが極値をとる周波数はFreqより低く、Qが高いほどFreqの直下に寄り、Qが下がるほど低域側へ離れていきます。Qが約0.577以下ではグラフの低域端が極値になります。
- ステータス行には総レイテンシー(samplesおよびmilliseconds)と、フィルターの振幅リップルが表示されます。リップルは実現された振幅特性が平坦という設計目標からどれだけずれているかを示し、値が小さいほど目標に近いことを意味します。0.3 dBが精度警告の基準です。
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Hi Pass Filter
不要な低域を取り除きながら、高域の明瞭さを保つ精密なハイパスフィルターです。Linkwitz-Rileyフィルター設計に基づき、位相応答と透明感のある音質を重視しています。
リスニング向上ガイド
- 不要な低域の揺れを取り除く:
- 20-40Hzに設定し、サブソニックノイズを取り除く。
- よりすっきりした低音には、-24dB/oct以上の急なスロープを使う。
- レコード録音や、床振動を含むライブ録音に向いている。
- 低音が強い音楽を整理する:
- 60-100Hzに設定し、低音の出方を引き締める。
- 自然なつながりには、-12dB/oct から -24dB/oct の中程度のスロープを使う。
- スピーカーの負担を抑え、明瞭さを上げやすくする。
- 特殊効果を作る:
- 200-500Hzに設定し、細く低域を削った声のような効果を作る。
- 大胆なフィルター効果には、-48dB/oct以上の急なスロープを使う。
- 電話風の声にしたい場合は、Lo Pass Filterを3-4kHz付近で組み合わせる。
パラメータ
- Frequency (Hz) - 低域を取り除き始める位置を設定 (10Hz から 40000Hz。実効上限はオーディオのサンプルレートにも依存)
- 低い値: ごく低い周波数だけを取り除く。
- 高い値: より多くの低域を取り除く。
- 取り除きたい低域成分に合わせて調整する。
- Slope - カットオフより下の周波数をどの程度強く減らすかを設定
- Off: フィルターなし
- -12dB/oct: 穏やかなフィルター (LR2 - 2次 Linkwitz-Riley)
- -24dB/oct: 標準的なフィルター (LR4 - 4次 Linkwitz-Riley)
- -36dB/oct: より強いフィルター (LR6 - 6次 Linkwitz-Riley)
- -48dB/oct: 非常に強いフィルター (LR8 - 8次 Linkwitz-Riley)
- -60dB/oct から -96dB/oct: 特殊用途向けの非常に急なフィルター
ビジュアル表示
- 対数周波数スケールのリアルタイム周波数応答グラフ
- フィルタースロープとカットオフ位置を明確に表示
- 正確に調整できるインタラクティブなコントロール
- 主要な基準点を示す周波数グリッド
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Lo Pass Filter
不要な高域を取り除きながら、低域の温かみや厚みを保つ精密なローパスフィルターです。Linkwitz-Rileyフィルター設計に基づき、位相応答と透明感のある音質を重視しています。
リスニング向上ガイド
- 刺さりやサ行のきつさを抑える:
- 8-12kHzに設定し、明るすぎる録音を落ち着かせる。
- 自然な音には、-12dB/oct から -24dB/oct の中程度のスロープを使う。
- 明るい録音で聴き疲れしやすいときに役立つ。
- デジタル録音を少し柔らかくする:
- 12-16kHzに設定し、デジタルっぽい鋭さを抑える。
- 控えめな温かさには、-12dB/oct の穏やかなスロープを使う。
- よりアナログ風の音色を作る。
- 特殊効果を作る:
- 1-3kHzに急なスロープで設定し、こもった狭帯域の質感を作る。
- 大胆なフィルター効果には、-48dB/oct以上の急なスロープを使う。
- ヴィンテージラジオ風にしたい場合は、Hi Pass Filterも組み合わせて低域を取り除く。
- ノイズやヒスを抑える:
- 音楽成分の少し上、通常14-18kHz付近に設定する。
- 効果的にノイズを抑えるには、-36dB/oct以上の急なスロープを使う。
- 音楽成分をできるだけ残しながら、テープヒスや背景ノイズを減らす。
パラメータ
- Frequency (Hz) - 高域を取り除き始める位置を設定 (10Hz から 40000Hz。実効上限はオーディオのサンプルレートにも依存)
- 低い値: より多くの高域を取り除く。
- 高い値: ごく高い周波数だけを取り除く。
- 取り除きたい高域成分に合わせて調整する。
- Slope - カットオフより上の周波数をどの程度強く減らすかを設定
- Off: フィルターなし
- -12dB/oct: 穏やかなフィルター (LR2 - 2次 Linkwitz-Riley)
- -24dB/oct: 標準的なフィルター (LR4 - 4次 Linkwitz-Riley)
- -36dB/oct: より強いフィルター (LR6 - 6次 Linkwitz-Riley)
- -48dB/oct: 非常に強いフィルター (LR8 - 8次 Linkwitz-Riley)
- -60dB/oct から -96dB/oct: 特殊用途向けの非常に急なフィルター
ビジュアル表示
- 対数周波数スケールのリアルタイム周波数応答グラフ
- フィルタースロープとカットオフ位置を明確に表示
- 正確に調整できるインタラクティブなコントロール
- 主要な基準点を示す周波数グリッド
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Loudness Equalizer
音量調整と周波数バランス補正を連動させる専用イコライザーです。Relative Volumeが0dBのときの推定平均リスニング音圧をAverage SPLに設定し、普段の音量調整にはRelative Volumeを使います。音量を下げると補正が自動的に強くなり、上げると弱くなります。
リスニング向上ガイド
- 小音量リスニング:
- 低音と高音を強調する。
- 静かな音量でも音楽のバランスを保つ。
- 人間の聴こえ方の特性を補う。
- Average SPL設定:
- Relative Volumeが0dBのときの推定平均リスニング音圧に設定する。
- 手動で設定する基準値であり、音圧は自動測定されない。
- Relative Volume調整:
- 負の値では出力音量が下がり、補正が強くなる。
- 正の値では出力音量が上がり、補正が弱くなる。
- EQ補正は
Average SPL + Relative Volumeを基準に計算され、60dBから85dBの補正範囲内に制限される。
- 周波数バランス:
- 低音強調用のローシェルフ (100-300Hz)
- 高音強調用のハイシェルフ (3-6kHz)
- 周波数範囲間をなめらかにつなぐ。
システムプリセット
エフェクト見出しのエフェクトプリセットで、ラウドネス補正カーブ全体から始められます。
- Late Night Listening - 低いリスニング音量に向けた強めの補正。
- Quiet Background - 日常向けの中程度の補正カーブ。
- Near Reference Level - 高めの基準音量付近で補正を最小にする設定。
パラメータ
- Average SPL - Relative Volumeが0dBのときの推定平均リスニング音圧 (60dBから96dB)
- リスニング位置での平均音圧に合わせて手動で設定する。
- 85dBを超える値は、より高い基準音圧を設定するために使う。
Average SPL + Relative Volumeが85dBを下回るまではEQ補正がかからない。
- Relative Volume - Average SPLを基準とする音量調整 (-30dBから+12dB)
- 0dB: Average SPLに対応する出力音量
- 負の値: 音量が下がり、ラウドネス補正が強くなる。
- 正の値: 音量が上がり、ラウドネス補正が弱くなる。
- 入力レベルやEQブーストがすでに高い場合、正の値ではクリッピングが発生することがある。
- 低域コントロール
- Frequency: 低音強調の中心 (100Hz から 300Hz)
- Gain: 最大低音ブースト (0dB から 15dB)
- Q: 低音強調の形 (0.5 から 1.0)
- 高域コントロール
- Frequency: 高音強調の中心 (3kHz から 6kHz)
- Gain: 最大高音ブースト (0dB から 15dB)
- Q: 高音強調の形 (0.5 から 1.0)
ビジュアル表示
- リアルタイムのEQ応答グラフ
- インタラクティブなパラメータコントロール
- 音量設定に応じた補正カーブ。Relative Volumeによる一律の音量変化はグラフに含まれない。
- 正確な数値表示
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Narrow Range
不要な周波数を取り除き、音楽の特定の部分に集中しやすくするツールです。特殊な音作りや、不要な音を抑えたいときに役立ちます。
リスニング向上ガイド
- ユニークなサウンド効果を作る:
- 「電話の声」風の効果
- 「古いラジオ」風の音
- 「水中」風の効果
- 周波数範囲に注目する:
- 低音が多い部分を聴き取りやすくする。
- ボーカル帯域に注目する。
- ボーカルや楽器が目立つ範囲に音を絞る。
- 不要な音を取り除く:
- 低域のゴロつきを減らす。
- 過剰な高域ヒスをカットする。
- 最もはっきり聴きたい範囲に集中する。
パラメータ
- HPF Frequency - 低音が減り始める位置を設定 (20Hz から 4000Hz)
- 高い値: より多くの低音を取り除く。
- 低い値: より多くの低音を残す。
- 低い値から始め、好みに合わせて調整する。
- HPF Slope - 低音がどれだけ速く減るかを設定 (0 から -48dB/oct)
- 0dB: 減衰なし (オフ)
- -6dB から -48dB: 6dB刻みで徐々に強い減衰
- LPF Frequency - 高音が減り始める位置を設定 (200Hz から 40000Hz)
- 低い値: より多くの高音を取り除く。
- 高い値: より多くの高音を残す。
- 高い値から始め、必要に応じて下げる。
- LPF Slope - 高音がどれだけ速く減るかを設定 (0 から -48dB/oct)
- 0dB: 減衰なし (オフ)
- -6dB から -48dB: 6dB刻みで徐々に強い減衰
ビジュアル表示
- 周波数応答を示す見やすいグラフ
- 調整しやすい周波数コントロール
- シンプルなスロープ用ドロップダウンメニュー
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Room EQ
Room EQは、EffeTuneで保存した周波数応答測定からFIR補正フィルターを作成します。初期状態では共有のフィルターを1つ設計し、このプラグインを通るすべてのチャンネルに適用します。個々のチャンネルに別の保存済み測定を割り当てることもでき、その場合もそれ以外の補正設定はインスタンス全体で共有されます。フィルターは選択した測定の全ポイントを平均してカーブを平滑化し、選んだ周波数範囲内のピークとディップを減らします。スピーカーと部屋の相互作用によって、リスニング位置で再現性のあるピークや大まかな周波数バランスの偏りが生じるときに使います。ミニマムフェーズまたはリニアフェーズの振幅補正に加え、Correction モードでは、測定した直接音(Phase Correction)と室内残響(Reverb Correction)の余剰位相も補正できます。Room EQにはWASM DSPエンジンが必要で、利用できない場合は信号を変えずにそのまま通します。
音質向上ガイド
- 複数ポイントで測定する: スピーカーまたはチャンネルグループを、リスニング位置の周辺にある複数のマイク位置で測定し、その保存済み測定を選びます。1か所のマイク位置に合わせ込みすぎない補正になります。
- 最初の設定: Phase: Minimum、Smoothing: 0.17 oct、Correction Low: 80 Hz、Correction High: 16000 Hz、Max Boost: 6 dB、Level Correction: 100% から始めます。エフェクトのオン/オフを切り替え、音が薄くなったり耳障りになったりせずに周波数バランスが均一に近づいているか確かめてください。
- ディップを持ち上げすぎない: 音響的な打ち消し合いによる狭いディップをフィルターが埋めようとする場合は、Smoothing を大きくするか Max Boost を下げます(0 dBにすると、ピークのカットは残したまま自動ブーストを無効にします)。
- 補正の強さを調整する: 100%では強すぎると感じたら Level Correction を下げます(50%では+6 dBのブーストが+3 dBに、−8 dBのカットが−4 dBになります)。
- 信頼できる範囲だけを補正する: Correction Low と Correction High は、スピーカーと測定マイクが正確に扱える範囲内に収めてください。範囲外まで補正すると、結果の精度が下がります。
- 目標カーブを整える: 部屋によるピークを抑えられたら、Additional EQ(FIRフィルターに直接組み込まれます)で好みに合わせた穏やかな調整を加えます(例: 100 Hz付近を中心とした+2 dBの緩やかなローシェルフ)。
- 余剰位相と残響の補正: 遅延を最小にするなら Phase: Minimum、余剰位相も揃えるなら Phase: Correction を選びます。まずは Reference Point: Consensus (all points)、初期値の Direct Window、Phase Correction: 100% から始めます。Phase Low より低い帯域まで余剰位相を補正したい場合だけ Low-frequency Phase Extension を有効にし、リスニング位置によって低音のタイミングが揃わなくなったらオフにします。Reverb Correction を Reverb Max Freq: 250 Hz のまま少しずつ上げると、リスニングエリア全体で低域の残響を打ち消せます。Reverb Max Freq を上げると、測定した位置だけに最適化された結果になります。
- 手動ディレイ: Room EQはスピーカー距離に応じた時間合わせを計算しません。Delay はインスタンス内のすべてのチャンネルに適用されるため、チャンネルグループごとに異なる手動ディレイが必要な場合は、Room EQのインスタンスを分けてください。
端末間での測定の共有: プリセットとURLに保存されるのは測定の名前とIDで、音響データは含まれません。測定を別の端末へ移すには、エクスポートの前に周波数応答測定ツールで 測定JSONのエクスポートにインパルス応答を含める を有効にし(初期状態で有効。ファイルが数十MB大きくなることがあります)、移行先の端末でそのJSONファイルをインポートします。選択した測定が見つからない場合、Room EQは警告を表示し、補正せずに信号を通します。
パラメータ
- Measurement - 共有の保存済み測定を選びます(名前、ポイント数、インパルスデータがある場合は
IRを表示)。測定を追加・編集した後は Refresh measurements をクリックします。 - Measurement ChN - ルーティングされた各バスチャンネルの測定を個別に指定する、任意の設定です。(Shared) のままにすると、共有の Measurement を使います。
- Delay(0~20 ms)- ルーティングされたすべてのチャンネルに加える手動ディレイです。報告される処理遅延には含まれません。
- Phase - FIRの位相特性を選びます。
- Minimum: 遅延が最も少ない、ミニマムフェーズの振幅補正です。
- Linear: リニアフェーズの振幅補正です(
Taps / 2サンプルの遅延が加わります)。 - Correction: ミニマムフェーズの振幅補正に、直接音の余剰位相補正(Direct Window 内の Phase Correction)と、必要に応じて室内の減衰の補正(Reverb Window 内の Reverb Correction)を加えます。
Taps / 2サンプルの遅延が加わり、インパルス応答(IR)データが必要です。Phase Smoothing、Phase Low、Low-frequency Phase Extension、Phase Correction、Reverbの4項目、Reference Point はこのモードでのみ働きます。MinimumとLinearでは無効になり、値は保持されます。
- Taps(8192、16384、32768、65536、131072)- FIRフィルター長です。大きいほど低域の分解能が上がりますが、メモリ使用量と設計時間が増え、Linear/Correctionモードでは遅延も増えます。
- Latency(0、128、256、512、1024 samples)- 畳み込みの先頭部分の遅延です。小さいほど遅延は減りますが、処理負荷が増えます。
- Smoothing(0.02~1.00 oct)- 振幅補正に適用するガウス平滑化の幅です。大きいほど広く控えめな補正になり、小さいほど特性の細かな変化に追従します。
- Phase Smoothing(0.02~1.00 oct、または Auto)- Correctionモードで、直接音の余剰位相補正に適用するガウス平滑化の幅です(Auto をオンにすると Smoothing に連動します)。
- Correction Low / Correction High - 自動補正の下限・上限周波数です。
- Direct Window(1~50 ms)- 直接音の位相補正のために解析する、立ち上がり以降の時間窓です。長くすると自動の Phase Low は下がりますが、室内の反射を多く含むようになります。
- Phase Low(20~20000 Hz、または Auto)- 固定長の時間窓で直接音の位相を補正する下限周波数です(初期値は Correction Low と、Direct Window 内に3周期が収まる周波数の高い方。例: 6 msでは500 Hz)。Low-frequency Phase Extension がオンのときは、固定長の時間窓から、低域用のより長い時間窓へ切り替わる境目を示します。
- Low-frequency Phase Extension(初期値オフ)- 周波数に応じて徐々に長くなる時間窓を使い、Phase Low より下から Correction Low に向けて余剰位相補正を広げます。
- Max Boost(0~18 dB)- 平滑化前の自動補正のブーストに上限を設けます。カットと、Additional EQ による意図的なブーストは制限しません。
- Level Correction(0~100%)- 自動振幅補正の量を、dB値に比例して調整します。0%で止まるのは自動補正だけで、Phase Correction、Additional EQ、Delay、Gain は働き続けます。
- Phase Correction(0~100%)- Correctionモードでの、直接音の余剰位相補正の強さです。Reverb Correction とは独立しています。
- Reverb Correction(0~100%、初期値 0%)- Reverb Window 内で Reverb Max Freq までを解析した、後続の室内残響に対する余剰位相補正の強さです。振幅補正は変わりません。
- Reverb Window(20~1000 ms)- Reverb Correction が解析する、立ち上がり以降の時間窓です。Direct Window より長くない場合(または測定が短すぎる場合)は、警告を表示して残響補正だけを省き、フィルターのそれ以外の部分は働き続けます。
- Reverb Max Freq(20~20000 Hz、初期値 250 Hz)- Reverb Correction の上限周波数で、Correction High を超えません(250 Hz付近に保つと、近くの座席どうしで同じように振る舞う低域の室内減衰に絞って補正できます)。
- Reverb Smoothing(0.02~1.00 oct)- 残響の余剰位相遅延に適用するガウス平滑化の幅です。
- Reference Point - 余剰位相の解析に使う基準として、Consensus (all points)(全測定ポイントを信頼度で重み付けした平均)か、単一の測定ポイントを選びます。選んだポイントが削除されると、Consensusに戻ります。
- Additional EQ(FIRに統合) - 目標特性を整えてFIRフィルターへ直接組み込む、5つのパラメトリックバンドです(Peak / Low shelf / High shelf、20 Hz~20 kHz、±20 dB、Q 0.1~10、シェルフは2まで)。位相は、Linearモードではゼロ位相、MinimumとCorrectionモードではミニマムフェーズになります。
- Gain(-12~+12 dB)- 出力レベルを調整します。
ビジュアル表示
- Graph: Frequency(平滑化した測定特性を薄いグレー、自動補正を淡い緑、Additional EQを含む合成補正を明るい緑、補正後の推定特性を白で表示。白は新たな測定ではなく、計算によるプレビューです)、Phase(FIR適用前後の−180°~+180°)、Min Group Delay、Excess Group Delay、Impulse(FIR適用前後の正規化した波形)を切り替えます。Impulseは、測定された立ち上がりの2 ms前から、5 ms、Direct Window、Reverb Window(Reverb Correction が0%より大きいときのみ。上限50 ms)のうち最も長いものまでを表示します。Phase、群遅延、Impulseの各表示では、グレーの Before の線が補正前の特性、緑の After の線がFIR適用後の計算結果です。白い縦の点線2本は、Correction Low と Correction High を示します。
- Frequency表示では、自動補正を100%かけたときの目標レベルが0 dBになるよう、グレーと白の曲線をずらして表示します。白い曲線に残る偏差は、Max Boost や100%未満の Level Correction などの制限、または Additional EQ による意図的な調整によるものです。
- Phase、群遅延、Impulseの各表示では、測定された立ち上がりを取り除き、補正後の結果からはFIRの固定遅延を差し引いています。群遅延は1 kHzで基準を取り直さないため、1 kHzで0 msになるとは限りません。Min Group Delay は表示範囲を自動で調整します。Excess Group Delay の表示範囲は−100~+100 msに固定されますが、読み値はその範囲外の値も表示します。インパルス応答データがない場合、これらの表示には利用できない旨のメッセージが出ます。
- Graph Preview Ch: 複数のチャンネル用にフィルターが設計されているときに表示され、どのチャンネルの曲線を表示するかを選びます。音声には影響しません。
- 操作: 番号付きマーカーを横にドラッグすると Additional EQ のバンドの周波数、縦にドラッグするとゲインが変わります(無効なバンドは薄く表示されます)。グラフにマウスを重ねるかドラッグすると、任意の位置の値を読み取れます。
- コントロールの下のステータス行には、総処理遅延、FIR分解能、フィルターの状態(bypass、staged、preparing、active、error)が表示されます。
Tilt EQ
ピボット周波数を中心に、対になったシェルビングフィルターで全体の周波数バランスを傾けます。スペクトルの片側が持ち上がり、反対側が下がります。録音やヘッドホンの音がいつも明るすぎる、またはこもって聞こえるときなどに、1つのコントロールで大まかに温かく、または明るく調整できます。
音質向上ガイド
- 温かくする: 小さな負の Slope(例: -1 dB/oct)で高域を下げ、低域を上げます。明るい録音やヘッドホンに向いています。
- 明るくする: 小さな正の Slope(例: +1 dB/oct)で高域を上げ、低域を下げます。こもった録音やスピーカーに向いています。
- 変化が始まる位置: Pivot Freq (Hz) を下げると高域側の変化が中域まで広がり、上げるとその変化が最上部のオクターブだけに限られます。
パラメータ
- Pivot Freq (Hz)(20 Hz~約20 kHz、初期値 約1 kHz)- バランスを傾ける中心の周波数です。
- Slope(-12~+12 dB/oct、初期値 0)- 傾きの量と方向です。正の値で明るく、負の値で温かくなり、0では変化しません。
ビジュアル表示
- グラフには、結果として得られる周波数応答が表示されます。
- Reset を押すと、両方のパラメータが初期値に戻ります。
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。
Tonal Balance EQ
再生中の音楽の長期的な音色バランスを測定し、選んだスタイルの市販音源に典型的なスペクトルバランスへ穏やかに近づけます。プレイリストやアルバム、ストリームの曲が一貫して暗すぎる、明るすぎる、低音がふくらむ、薄いと感じるときに、曲ごとに手でEQを調整せずに自動で揃えたい場合に使います(補正するのは録音のバランスで、スピーカーや部屋ではありません。音響的な補正にはRoom EQを使ってください)。
全体のラウドネスを揃えたうえで測定したスペクトラムと目標を比較し、強すぎる帯域を下げ、1つのメイクアップゲインをかけることで、聴感上の音量を変えずに弱い帯域を前に出します。無音や曲の休止部分は測定から除外し、ヒスや、持続するシンセパッドのような定常的でノイズに近い帯域には持ち上げを控えるため、何もない周波数の両端が不自然にブーストされることはありません。全チャンネルに同じゼロ遅延の補正をかけるため、ステレオイメージは保たれます。
音質向上ガイド
- さまざまな曲が混ざったプレイリストやストリーミング: 初期値(Target: All、Amount: 100%、Averaging Time: 30 s)から始めます。測定の信頼性が高まるにつれて補正が数十秒かけて立ち上がるので、30秒ほど再生してからバイパスと比較してください。
- アルバム全体に一定の補正をかける: アルバムの開始時に Reset をクリックし、Averaging Time を ∞ にします。補正が再生全体を平均し、固定のカーブに落ち着きます。
- ジャンル別の目標: 特定のスタイルに合わせるなら Classical、Electronic、Pop、Rock を、さまざまな音楽を聴くなら All を選びます。
- 補正を控えめにする: 大まかで穏やかな傾きにするには、Amount を下げる(例: 50%)、Range を小さくする(例: 3 dB)、または Smoothing を上げます(例: 1 oct)。
- 自分好みのハウスカーブ: グラフの下にある5つの Target Adjust バンドで、目標を好みに合わせて傾けたり形を変えたりします(例: 8 kHzに+1.5 dBのHigh shelf)。各録音は、このカスタム目標へ必要な分だけ補正されます。
- 固定の傾きの基準: Target: Tilt を選ぶと、Corner より下は平坦で、そこから一定の Slope で下がる目標になります(−5 dB/octが一般的な市販マスターに近く、−3 dB/octがピンクノイズに相当します)。
メイクアップゲインが保つのはピークレベルではなくラウドネスなので、ピークが上がることがあります。後段でクリップする場合は、このプラグインの後でレベルを下げるか、リミッターを追加してください。
パラメータ
- Target - 目標とする音色バランスです。All(初期値、4スタイルを均等に混ぜたもの)、Classical、Electronic、Pop、Rock、Tilt(固定の傾きの基準)から選びます。
- Slope(-18~0 dB/oct、初期値 -6 dB/oct、Tiltのみ)- Corner より上で目標が下がる傾きです(-3 dB/oct = ピンクノイズ、約-5 dB/oct = 一般的な市販音源)。浅い値ほど高域の多い目標になり、初期値は一般的な音楽よりやや暗めのバランスです。
- Corner(20~1000 Hz、初期値 250 Hz、Tiltのみ)- この周波数より下では、Tilt の目標が平坦になります。低い値ほど重低音の多い目標に、高い値ほど低音の少ない目標になります。
- Amount(0~100%、初期値 100%)- 補正全体の強さです。0%では音は変わりませんが、測定とグラフは動き続け、Range、Smoothing、Low、High は無効になります。
- Range(0~12 dB、初期値 6 dB)- 各帯域で許される、上下それぞれの最大のゲイン調整量です。小さいほど変化が控えめになり(0 dBで補正はオフ)、大きいほど目標から遠い録音も目標に近づけられます。
- Smoothing(0.1667~2 oct、初期値 0.5 oct)- 補正カーブの起伏の幅です(大きいほど広い傾きになります)。
- Averaging Time(0.1 s~∞、初期値 30 s)- 測定を積算する時間です。短い値(例: 0.5~1 s)は、暗いAメロと明るいサビのような曲中の変化に追従し、長い値は安定した補正になります(∞ では最後の Reset 以降を継続して平均します)。
- Low(20~200 Hz、初期値 20 Hz)/ High(2000~20000 Hz、初期値 16000 Hz)- 補正で形を変える範囲の下端と上端です(範囲外では補正値が一定に保たれます)。重低音に手を加えたくない場合は Low を上げ、最上部のオクターブに手を加えたくない場合は High を下げます。
- Average SPL(60~96 dB、初期値 83 dB)- 推定リスニングレベルです。静かな帯域が、持ち上げてよいほど聞こえるかどうかの判定に使い、出力レベルは変えません。低い値ほど多くの微弱な帯域を聞こえないものとみなして持ち上げず、高い値ほど多くを聞こえるものとみなします。
- Target Adjust - 目標カーブの形を変える、5つのパラメトリックバンドです(Peak / Low shelf / High shelf、20 Hz~20 kHz、±20 dB、Q 0.1~10、シェルフは2まで、初期値 Q 0.7)。正のゲインではその帯域が多め、負のゲインでは少なめの目標になります。
Target Adjust が変えるのは目標だけです。各録音は引き続き Amount と Range の範囲内で目標へ補正されるため、大きく調整した場合は Range を広げる必要があることがあります。全体のレベルは比較の前に揃えられるため、目標全体を同じ量だけ上げても何も変わりません。狭いピークやディップは平滑化されるので、狭い範囲の修正には5Band PEQを使ってください。
ビジュアル表示
- 横軸は約26 Hz~18.6 kHzの周波数、縦軸はレベル(dB)です。1 Hzあたりの値で表示するため、ピンクノイズは-3 dB/octで下がる直線になります。縦軸の範囲は曲線に合わせて広がり、Reset や Target の変更で±12 dBに戻ります。Low より下と High より上の領域は薄く表示されます。
- Target は Target Adjust を含む目標バランスです。スタイルを選んだ場合、網掛けの帯は曲ごとの典型的なばらつきを示します。これは音楽コレクションの長期スペクトラムから学習したもので、Tilt にはありません。
- Measured はドット付きの線で、目標に揃えた長期スペクトラムの測定値です。目標の帯より下にある帯域ではその録音が典型より弱く、上にある帯域では強いことを示します。周波数をプレビューしている間は測定を止めます。
- EQ response は太い線で、メイクアップゲインを含めて適用しているゲインです(0 dB = 変化なし)。
- Withheld lift は網掛け領域で、ノイズ的な成分や音楽以外の成分として持ち上げを控えなかった場合に、その帯域がおよそどれだけ多く持ち上げられたかを示します。
- Target adjust は0 dB付近にある番号付きハンドルの付いた細い曲線で、設定したとおりのバンドを示します。ハンドルは Target の線上にはありません。ハンドルをドラッグすると周波数とゲイン、ハンドルの上でマウスホイールを回すとQが変わり、右クリックするとそのバンドのオン/オフが切り替わります。再生中は Target の線がすぐにハンドルの変更に追従し、停止中は最後の形を保ちます。
- グラフにマウスを重ねるかドラッグすると、各帯域の値、Presence(音楽成分と認識された時間の割合、%)、Make-up gain、積算 Loudness(LKFS)を確認できます。音声を測定する前は、グラフに “Play audio to start measuring” と表示されます。
- Reset は蓄積した測定を消去します。Target Adjust は変わりません。省電力による停止から処理が再開したときも、測定は最初からやり直しになります。
- Copy as PEQ は、EQ responseを5Band PEQの設定としてコピーします。Effect Pipelineで Ctrl+V を押すと選択中のエフェクトの前(選択がなければ末尾)に挿入されるので、Tonal Balance EQをオフにすると補正を固定できます。コピーは Low から High までのカーブの形を再現しますが、全体のレベルは再現しないため、ラウドネスがわずかに変わることがあります。グラフにEQ responseが表示され、Amount が0%より大きいときに使えます。
Tone Control
低音、中音、高音をすばやく簡単に調整できるシンプルな3バンドの音質調整ツールです。難しい設定に入り込まず、基本的な音色を整えたいときに向いています。
リスニング調整ガイド
- クラシック音楽:
- 弦楽器の細部を出すために高音を軽く上げる。
- オーケストラを豊かにするために低音を穏やかに上げる。
- 自然な音には中音をニュートラルに保つ。
- ロック/ポップ:
- 迫力を出すために低音を適度に上げる。
- すっきり聴かせるために中音を少し下げる。
- シンバルや細部をくっきりさせるために高音を上げる。
- ジャズ:
- 温かい低音で音をふくよかにする。
- 楽器の細部を出すために中音を明瞭にする。
- シンバルのきらめきに高音を穏やかに加える。
- エレクトロニック音楽:
- 深いインパクトのために低音を強める。
- すっきりした音にするために中音を下げる。
- 細部を鮮やかにするために高音を強調する。
パラメータ
- Bass - 低音を調整 (-24dB から +24dB)
- 上げると低音がより力強くなる。
- 下げると軽く、すっきりした音になる。
- 音楽の「重さ」に影響する。
- Mid - 音の中心部分を調整 (-24dB から +24dB)
- 上げるとボーカルや楽器がより前に出る。
- 下げるとより広がりのある音になる。
- 音楽の「ふくよかさ」に影響する。
- Treble - 高音を調整 (-24dB から +24dB)
- 上げるときらめきと細部が増す。
- 下げるとなめらかで柔らかい音になる。
- 音楽の「明るさ」に影響する。
ビジュアル表示
- 調整内容を見やすく示すグラフ
- 各コントロール用のシンプルなスライダー
- グラフにマウスを重ねるか、タッチしてなぞると、その位置の値を読み取れます。